ITパスポートは意味ない資格？メリット・デメリットから実用性を分析

昨今のITバブルにより、IT系資格への注目が高まっています。ITパスポートについては評価が分かれていますが、実態はどうなのでしょうか。

この記事ではITパスポートを取るメリットとデメリットを明確にし、ITパスポートの有用性について解説します。記事を読むことであなたがITパスポートを取るべきか分かるでしょう。

ITパスポートは、IT企業へ参入を考えるときの基礎作りとしては有用です。しかしキャリアアップするためには、他のIT系資格やスキルが求められます。

ITパスポートが意味ないと言われる理由

ITパスポートが意味のない資格と言われる理由は、大きく分けて以下の3つです。

独占業務がない

ITパスポートは法律で定められた独占業務が存在しない資格。たとえば法務業務は行政書士や弁護士でないと行えませんが、ITパスポートには専門領域がありません。

ITパスポートだけで専門職に就くことはできず、業務での明確な優位性を得るのは難しいでしょう。

専門性が求められる資格ではない

ITパスポートは専門性が高い資格ではありません。取得過程でIT分野の基礎知識は網羅できますが、深い専門技術や実用スキルを持つ証明にはならないため注意が必要です。

IT業界で専門職を目指す際はITパスポートだけでは不十分と見なされ、より高度な専門資格や経験が求められる傾向があります。キャリアアップ目的であれば、他の専門資格や実務経験のほうが有効です。

難易度が高くない

ITパスポート試験は合格率50%前後の資格試験なので、初学者でも取得しやすい資格と言えます。理由として試験の形式が選択式であるため、学習した内容を把握していれば問題に対応しやすいためです。

試験範囲も広くなく、国家資格の中では難易度は低めです。専門的なスキルや知識が必要ない点でも、IT業界への入口として気軽に挑戦できる資格と言えるでしょう。

ITパスポート取得のメリット

ITパスポートを取得するメリットは、大きく分けて以下の3点です。

基礎知識を習得できる

ITパスポートは取得する過程で、多くのITの基礎知識を習得可能です。ITの基本用語や概念を理解でき、ビジネスの土台となる知識を身に付けられます。

特にITビジネスにおいて重要な、以下の3つの知識が学べるのは非常に有用です。

ITパスポートで学べる知識は進学や就職活動において有効であり、IT業界でのキャリア形成にも大きく貢献します。IT業界での就職を目指すなら、取って損がない資格と言えるでしょう。
» ITパスポートを取得するメリット

進学や就職活動に利用できる

ITパスポートは、進学や就職活動において有用な資格です。IT関連の学校へ進学を検討している人は、ITパスポートの保有をアピールポイントとして利用できます。資格取得により進学の選択肢が広げられるでしょう。

公務員試験や企業の入社試験においてITパスポートが加点材料になる場合もあるため、試験対策としても有効です。インターンシップの応募資格になっているケースもあり、早期のキャリア形成に役立つでしょう。

他の資格取得へ橋渡しできる

ITパスポートは情報技術の基礎知識を身に付けるための資格であり、より専門的な資格取得に向けた土台にもなります。以下に挙げるような情報処理技術者試験の資格取得を目指す際に、ITパスポート取得で得た知識は学習の基盤となります。

情報処理技術者試験はすべて経済産業省の認定資格であり、有用な資格取得の足がかりになる点は見逃せません。より情報技術者としての専門性を高め、さらなるスキルアップを目指す人にとって価値が高い資格です。
» 基本情報技術者試験を徹底解説

ITパスポート取得のデメリット

ITパスポートは取得する価値の高い資格ですが、以下の2点には注意しておきましょう。

キャリア形成に限界がある

キャリア形成において、ITパスポートの持つ価値は限定的といえます。ITパスポートは情報処理技術者試験の中で最も初歩的な資格であり、キャリアアップへは直接的につながりにくいためです。

IT業界でより上のキャリアを目指す場合、専門的なスキルや高度な技術知識が必要になります。しかしITパスポートはITの基本的な理解を示すだけであり、専門性の証明としては不十分です。

ITパスポートは、情報技術における学習の第一歩と捉えましょう。長期的なキャリア形成をするうえでは、追加で学習や経験を積むことが重要です。

専門性を高く評価されない

ITパスポートを持っていても専門性を評価されない点は、大きなデメリットの1つです。ITパスポートはIT系資格で最も初歩的なもののため、高度なスキルや知識を証明できません。

あくまでITパスポートを取得する目的は、基礎知識や情報リテラシーを高めること。ITパスポートの知識だけでは応用力に乏しいため、経験や専門知識が必要な職場では評価が低い可能性があります。

専門性を追求する方にとって、ITパスポートの保有のみで期待する効果を得るのは難しいでしょう。

ITパスポートを取得するべき人

ITパスポートを取得すべき人は、大きく以下の3パターンに分けられます。

IT業界への就職を目指す方

IT業界への就職を目指す方にとって、ITパスポートは重要なステップになります。業界でキャリアをスタートさせるための基礎知識を付けられるからです。

ITパスポートを通してIT業界の職種や仕事の流れ、基本的な用語や概念を学習しましょう。資格取得で得た知識は、面接でのアピールポイントや職場での円滑なコミュニケーションに役立ちます。

エントリーレベルのIT職に応募する際、履歴書や職務経歴書に資格保有を記載することで、プラス評価を得られる場合があります。IT業界へ就職して将来的な専門性を獲得したい人にとって、ITパスポートはおすすめの資格です。

IT知識を仕事に活かしたい方

ITスキルを仕事に活かしたい方には、ITパスポートの取得は大きな足がかりになります。新しい職種に挑む際にITの基礎知識があれば、さまざまな選択肢を取れるためです。

ITパスポートの学習過程では、大きく分けて以下4つの知識が問われます。

特にITビジネスでは情報セキュリティの重要性は高く、セキュリティリスクへの十分な対策のための適切な知識は必須です。データ分析能力やデータベースの管理知識も同様で、データを基に判断し行動できるスキルは必要不可欠と言えます。

日々の業務効率化にも、ITツールやシステムの理解が深まることで大きな貢献が期待できます。汎用性が高いITスキルを求める人には、ITパスポートは必須の資格と言えるでしょう。

上位資格取得のための基礎を学びたい方

ITパスポートは情報処理技術者試験における基本的な資格であると同時に、上位資格取得を目指すための重要なステップです。ITパスポートで身に付けた知識は、プロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトなどの専門資格取得の基盤となります。

ITの基礎を固めたい人は必ず取得したい資格です。ITパスポートを取得したら、キャリアアップのためにさらなる専門性を追求していきましょう。

まとめ

ITパスポートについてはさまざまな意見がありますが、ITの基礎知識を得る点では大変有用な資格です。IT業界に入るための入門として、進学や就職活動において有利な効果をもたらします。

専門性を重視する環境では、より高度な資格・具体的な技術知識が求められます。個々のキャリア目標に合わせた資格取得を目指すことがもっとも重要です。

マコ

金融機関に12年勤務。ITパスポート資格の他にAFPや簿記なども保有。